未来予想図Ⅲ

未来について考えてみたことを書くブログ…

書評:メイカーズのエコシステム

メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。 (OnDeck Books(NextPublishing))

 

 

 

重要なのは、メイカー全員がMakeすることによって「ある変化」を体験することだ。

 

 

雑誌Makeの編集長の言葉。自分は何かをコントロールできる、という想いを抱くことを大事にすることが、メイカーが普及していった世界だ、と語る。また、Makeによって、作ったものと自分の関係ができることもメイカーの世界での一つの結果としている。

 

深センにないものは、世界にないと思って良い。

 

深センの電気街に言った伊予柑(ハンドルネーム)さんの感想。秋葉原の30倍近い面積をもった電気街があり、LED部品がビルの1フロアを占拠していたりと、その様子に圧倒された。

そして、この環境によるアドバンテージは計り知れないとも記述している。

 

HAXが注目するハードウェアベンチャーの人

 

・ハードワークができる

オプティミスト楽天家)である

・Resourcefulである

この3点はすべて、「予測不可能な、前もって準備できない事態がいっぱい起こる」ことを指す。

 

下から目線くらいがちょうど良い

 

深センに自社工場を持つジェネシスの藤岡さんの中国で仕事をするときの態度についての言葉。中国人にとっての面子というのは、重要かつ複雑な文化習慣なので、相手の立場を尊重し、自分と付き合うとどういうメリットがあるのかをキチンと示すことが必要と説明している。

 

技術者を育てる、教育国家シンガポール

 

STEM教育のもと、2014年から全国の中学校を対象にArduinoなどの電子工作やプロトタイピングを教えるコースを開設し始めた。

最近になっても、英語教育だ−!プログラミングだー!という議論に終始している日本の教育は周回遅れになっている様相である。

 

新しいABCを

 

シンガポール スマート国家推進担当大臣のヴィヴィアン・バラクリシュナンが、次世代へのシンガポール人への期待として語った言葉。ここのABCとは

A=アート。心にぐっとくるものは何かについて考え、理解する

B=ビルド。ないものは作る、という心構えをもつ。

C=コミュニケーション。感性に訴えるものをきちんと言葉にする。早い・安いでは、もうアドバンテージがない。

この大臣、自らがプログラマとしての素養を持っているということで、技術よりの政策を立てやすいのではと思われる。

 

 


 

本書籍は、Maker faire深センの話を中心に、Makeについて述べたものだが、読んでくとMakeの可能性や成長について、理解すると同時に、日本の相対的な他国との差が広がっていく怖さが感じられた。

ここにでてきたシンガポールと中国は、どちらも国主導で進めていく力が強く、早い。20年以上、日本を見てきて、中国やシンガポールのスピード感は日本がどうやっても追いつけない部分だと感じた。 

ハードウェアでの成功したスタートアップで出てきてない今、どこがその覇権を握っていくのか。そして、日本はここにどこまで注力するのか、というところが今後、気になる。