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未来予想図Ⅲ

未来について考えてみたことを書くブログ…

〈グラスホッパー〉伊坂幸太郎作品が読者にハマるツボについての考察〈マリアビートル〉

グラスホッパー (角川文庫)

マリアビートル (角川文庫)

 

伊坂幸太郎さんの代表的作品であるグラスホッパーマリアビートル

この2つは、内容的に続編ではないのだが、同じ世界観となっておりマリアビートルグラスホッパーの後の話となっている。そのため、まだどちらも読んでいないならば、まずグラスホッパーから読むことをおすすめする。

 

さて、伊坂幸太郎さんの作品の多くは映画化されており人気を博している。ほとんどの作品が小説であり、多くのファンがいる。今回、こちらの2作品を連続して読んでみた所、氏の作品のおもしろい部分はどこかと考察してみた。あくまで一意見なので、参考程度に読んでみて欲しい。ちなみに若干のネタバレ含みます。

 

1.バラバラの世界観が最後につながるところ

 伊坂幸太郎作品の一番の読者を引きつけるポイントは、これだと思う。様々な登場人物が、各々独自の価値観だったり、使命感をもって行動する。それらが、ブラックホールで最終的に中心に引きつけられるように、一つの点にまとまっていく。今回読んだ2作品は、殺し合いだったので、勝ち上がりトーナメント、のほうが表現が正しいのかもしれない。

 一見無関係に思われる人物間の関係も、過去のいきさつで出会ったりしたりと、その数奇な運命が新しい化学変化を引き起こし、それぞれの運命に影響を与えている。それらが、一視点ではなく、多数の視点で描かれている所も読者からするとおもしろく感じるところだ。舞台の寸劇を舞台袖から、見ているような感じに陥る。

 そして、最終的には当初の関係性から、思いもよらない結果に行き着いているのだ。そこまでの展開がテンポ良いため、どこかの死神漫画や無人島脱出漫画のようにくどくなく、読み進めてしまう。

 

2.個性ある登場人物

 のび太は気弱な性格で、すぐドラえもんに頼ろうとする。スネ夫の性格はずる賢く、ジャイアンは横暴的。しずかちゃんは優しくて、ときにお色気シーンを演出する。

 上記のキャラクターの性格は、なんの作品名か言わなくてもわかるくらいの国民的漫画の中身であるが、おもしろい作品というのは、間違いなく登場するキャラの性格が際立っている。そして、それはこの伊坂幸太郎の作品でも同様である。

・気弱な性格の鈴木。妻を殺されその復讐に組織にスパイに入るも、冷酷に徹することができない部分がある。

・相手を自然と自殺に追い込む「鯨」。これまで自殺に追い込んだ犠牲者の幻覚を見るようになり、それらの過去を精算するため、関わりをもった者、特に一度だけミスを犯した仕事相手との再戦に熱を上げている。

・最強の殺し屋と言われる「檸檬」と「蜜柑」。短気で好戦的な檸檬とそれとは対象的で知的で冷静な蜜柑。

・中学生とは思えない冷酷な思考の持ち主である「王子」。人の上に立つことを至上としており、その異常なまでの執着は、コンプレックスの裏返しとも言える。

 

このように、出て来る人物各々が、おもしろいほどに個性的である。そのため、多数の人物視点で描かれるこの2作品は、読んでいて飽きないのだろう。また、今の時点でグラスホッパーが映画化されているが、登場人物がキャラだっていることは、視覚化されて映画にもしやすいのだろう。

3.舞台のリアルさ

 マリアビートルについては、話が展開する主な場所が東北新幹線の中となっている。私自身もよく使っている車両なので、読んでいて物語がすすんでいく様が思い描きやすい。

 グラスホッパーは、前述した鯨という相手を自殺に追い込む特殊能力をもち、そのようなSFと現実の間のような設定が読者からすると、ありきたりな現実的な話でもなく、ぶっとびすぎたSFチックな話でもなく、ちょうどいいぐらいのバランスであるから、楽しめるのではないかと思う。

 

もし、東北新幹線で時間がある場合は読んでみて欲しい2作品である。

 

 

 

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)